JCMR KYOTO 本公演 Vol. 1 「Emic/Etic~独奏曲の東西~」 続報 六

JCMR KYOTO 本公演「Emic/Etic〜独奏曲の東西」が来る8月2日に行われます。
今回は、独奏曲の「対照」というテーマを掲げております。
曲目は以下の通りです。


クラリネットの東西 Cl. 徳田香南

早坂文雄(1914-1955):交響的組曲ユーカラ》(1955)より第一楽章〈プロローゴ〉
オリヴィエ・メシアン(1908-1992):《世の終わりのための四重奏曲》(1941)より第三楽章〈鳥たちの深淵〉

*チェロの東西 Vc. 大西泰徳

黛敏郎(1929-1997):《BUNRAKU》(1960)
ソフィア・グバイドゥーリナ(1931-):《10の前奏曲》(1974)より第一、第二、第三、第四、第十楽章

*フルートの東西 Fl. 江戸聖一郎

細川俊夫(1955-):《垂直の歌Ⅰ》(1995)
クラウス・フーバー(1924-):《無限の気Ⅰ》(1972)

*ピアノの東西 Pf. 笹まり恵

武満徹(1930-1996):《ピアニストのための「コロナ」》(1962)
ジョン・ケージ(1912-1992):《ヴァリエーションズ 第一番》(1958)


クラリネットの東西は、メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》からの1楽章と、早坂文雄の交響的組曲ユーカラ》からの1楽章との「対照」です。

両作品の同質的な部分と、異質な部分との差異が、まさに「対照」となるような作品といってよいでしょうか。


チェロの東西はグバイドゥーリナの《10の前奏曲》からの抜粋と黛敏郎の《BUNRAKU》との「対照」です。

共通項は「伝統」へのまなざしというべきでしょうか。ちなみにグバイドゥーリナは、ロシアのタタール自治共和国出身の女性作曲家です。特殊奏法へのこだわりは、彼女の出自と、「民俗音楽」への造詣の深さと関わっているといえるでしょう。


フルートの東西はクラウス・フーバーの《無限の気Ⅰ》と細川俊夫の《垂直の歌Ⅰ》との「対照」です。

この二人の作曲家は師と弟子という間柄です。クラウス・フーバーは日本ではあまり知られているとはいえませんが、ドイツではかなり知られた作曲家です。フライブルク音楽大学で長年教鞭をとっていたことから、弟子も多く、師事した日本人作曲家も多い人物です。
いわゆる「前衛」という枠組みで捉えることは可能ですが、古楽やアラビア音楽への関心を作品にも反映させている、非常に「多彩」な作曲家です。

両作品にみられる書法の差異こそ、聞き所でしょうか。


ピアノの東西はケージの《ヴァリエーションズ 第一番》と武満徹の《ピアニストのための「コロナ」》との「対照」です。

すでに「ネタバレ」の感もありますが、共に通常の「譜面」で示されてはいないこと、そしてそのアウトプットが異なることが、一番興味深い点でしょうか。


興味をお持ちの方お気軽にお問い合わせください。
そして、ぜひお越し下さい。


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